なぜ利益を逃すのか?
「負けないための」シリーズもいよいよ大詰めということで、最終回のテーマは「利益確定ポイント」です。
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No.008 負けないための損切りポイント
No.009 負けないためのエントリーポイント
いままで「損切りポイント」と「エントリーポイント」についての解説をしてきましたが、みなさんが一番頭を悩まされているのは、この「利益確定ポイント」なのではないでしょうか?
みなさんは保有している株に含み益が発生している際、つい欲を出してベストな利益確定のタイミングを逃してしまったり、逆に確信を持って利益確定したのにもかかわらず、その後更に株価が上昇してしまい後悔したりと、このような失敗を繰り返してはいませんでしょうか?
もし思い当たる節があるようでしたら、それは利益確定のルールが定まっていないということになります。
これはいままで解説した「損切りポイント」や「エントリーポイント」に対しても言えることですが、自身の中でしっかりとルールが構築されていれば、たとえ結果が最善にならなかったとしても最悪のケースを避けることができますので、後悔することはないはずです。
よくトレードの度に「もっとこうすればよかった」や、「ここはああするべきだった」など、後悔ばかりされる方がいますが、おそらくその後悔には一貫した法則性がなく、そこから得られる教訓もないはずです。
つまりルールも無しにトレードの経験を積んでも、利益確定のタイミングに関しては上達することはできないということになります。しっかりと守るべきルールを持ち、それを自分のトレードスタイルにカスタマイズしてゆくことで、プロのトレーダーに近づくことができるのです。
持つべきルールとは?
ですが、だからと言ってどんなルールを取り入れてもいいというわけではありません。
一般的に「損切りポイント」や「利益確定ポイント」を決める際には、取得平均や買付金額などに対する割合を決めておき、たとえば8%減ったら損切りするとか、10%増えたら利益確定するといった方法がよく使われますが、これは間違ったルールとなりますので決して取り入れないで下さい。
そもそも株価の変動は、地合い(株式市場の状態)や銘柄などによって全く性質が異なりますので、根拠もなく設定した割合を全銘柄共通で当てはめてしまうのは乱暴すぎます。ルールとしても成立していません。
ではどのようなルールであれば最適であり、また確固たる根拠があると言えるのでしょうか?
それは、移動平均線を使用すれば解決するのです。
手法の解説
以前「移動平均線」の解説をした際に、最も強いトレンドは短期線、中期線、長期線の全ての線が上もしくは下に揃って向いている状態の時です、とお伝えしましたが、実はこの状態が発生している時には、ある特徴も同時に表れているのです。それは、移動平均線の順番となります。(図1)
移動平均線の並びが分かるチャート
このように、上昇トレンドでは上から順番に短基線、中期線、長期線となり、下降トレンドでは長期線、中期線、短基線の順番で並ぶのです。
つまりトレンドが上昇から下降、下降から上昇へと変わるためには必ずこの移動平均線の入れ替わりが発生するので、それを「利益確定ポイント」のルールとするのです。
短基線、中期線、長期線の設定値は自身のトレードスタイルに合わせてそれぞれカスタマイズされていると思いますが、含み益が発生いている際はどんな銘柄であれ、ほぼ間違いなく中期線の上に短期線がきているはずですので、この短期線が中期線と交じり合ったポイントを「利益確定ポイント」にすればいいのです。(図2)
短期線と中期線が入れ替わったチャート
この図でいうと、短期線と中期線が交じり合ったポイントにあるローソク足が2600円前後ですので、これが「利益確定ポイント」となります。
もし仮に、交じり合った移動平均線が直ぐに分かれてしまい、なおかつ短期線が上にきている状態であったとしたら、それは再度エントリーして次の交じり合いを待てばいいのです。
ただし移動平均線は、みなさんが分析する際に使用している設定値のままでは最適な利益確定ポイントを逃してしまう可能性がありますので、利益確定ポイントを決める際には、その時だけの設定値を変更する必要があります。
たとえば細かく利益を確定しておきたいのなら、短基線と中期線の差を1日とか2日に設定するとか、逆にそんなに頻繁に利益確定を繰り返したくないと言うのであれば、10日から30日の間で設定するのも良いかもしれません。
ちなみに(図2)の中期線を7日に設定したものが(図3)となりますが、エントリーポイントが2個所に増え、更には(図2)の時よりも利益確定ポイントが200円以上も高いことが分かると思います。
中期線を7日に設定したチャート
このように、自分のスタイルに合わせた値を模索して、確実に利益を取れるようになっていただきたいと思います。